当社では熊本研究所GLP施設において、PDX株の樹立・バンキングから薬理試験の実施まで各種受託サービスをご提供しています。
従来の「がん細胞株」よりも臨床成績の予測性が高いとされているPDXモデルを研究開発にお役立てください。

About PDXPDXについて

PDXとは

PDXモデル(Patient-Derived Xenograft)は、患者由来のがん組織を免疫不全マウスに移植したマウスモデルです。
PDXは、シャーレ上で継代培養された「がん細胞株」と比較して、臨床腫瘍の多様性や抗がん剤に対する反応性を保持しています。PDXモデルは臨床予測性が高い革新的なツールとして、抗がん剤の研究開発の主流となりつつあります。

LSIメディエンス(2020年当時)は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(「CiCLE:Cyclic Innovation or Clinical Empowerment」)で、国立研究開発法人国立がん研究センター、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所と協働して、日本人がん患者由来のPDXライブラリー(J-PDXライブラリー)を構築しました*1

メディフォード管理のもと、当社熊本研究所にJ-PDXライブラリーと医薬品開発やがん医療にPDXを活用するための基盤を整備し、J-PDXを用いた各種サービスを提供しています。J-PDXの活用については、国立がん研究センターの紹介ページ*2を参照ください。)

そのほか、公益財団法人実験動物中央研究所が樹立したPDXライブラリーも利用可能です。

*1:がん医療推進のための日本人がん患者由来PDXライブラリー整備を達成 | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(amed.go.jp)
*2: J-PDXライブラリー 日本からの創薬開発の加速 非臨床から臨床へのかけはし | 国立がん研究センター 研究所(ncc.go.jp)

Commissioned business試験・サービスの詳細

PDX樹立試験とPDXの保存

医療機関・製薬企業・アカデミア等から患者組織を受入れ、新規PDX株の樹立試験の受託が可能です。熊本研究所GLP施設で、樹立後のPDX株を保存も可能です。

PDX作製から保存までの流れ

TG1マウス:移植第1代のマウス

標的確認試験

創薬標的分子等の各種発現解析試験の受託が可能です。
J-PDXをご利用の際はFFPEスライド、組織マイクロアレイ(FFPE)を用意しています。

組織アレイ情報

下記のがん種のPDXについて組織マイクロアレイ(TMA)を用意しています。
1枚のスライドで複数のPDX由来組織のタンパク質の発現を同時に検討することが可能です。
PDXを選択する際の標的確認に利用が可能です。

がん種 PDX数 TMAブロック数
肺がん 12 2
食道がん 8 1
胃がん 6 1
大腸がん 27 5
胆道がん 7 1
膵がん 8 2
脳腫瘍 8 1
乳がん 12 2
卵巣がん 6 1

※PDX数欄に記載のPDXを全て利用したい場合はTMAブロック数欄に記載のブロック数全てを使用する必要があります。

TMA染色例

TMAブロックの連続切片をHE染色、HER2染色した染色例です。

HE染色
HER2染色

※同一のPDXを複数TMAブロックに搭載している場合があります。

免疫染色による標的の確認(代表例)

乳がんPDX
HER2
肺がんPDX
EGFR
肺がんPDX
ALK

PDX in vivo抗腫瘍試験

膵がんPDXを用いた抗腫瘍試験例

その他関連試験

PDXを用いた試験に関連した各種解析も実施が可能です。

抗腫瘍試験後の遺伝子発現解析

薬剤投与開始後の各ポイント、あるいは観察終了時のPDX腫瘍における遺伝子発現解析が可能です。採材した試料からRNAを抽出しRNAseqを行い、マウスのリードを除去後、発現解析を実施します。

薬物濃度測定

薬剤投与開始後の各ポイントで採材し(血液・腫瘍組織等)、薬物濃度を測定します。

試験期間について

標準的な試験期間

免疫染色による標的確認試験
1~1.5ヵ月
In vivo抗腫瘍試験
6か月~

Development of PDX-related TechnologyPDX関連技術開発

PDX-3D培養モデル
(受託メニュー準備中)

膵がん、肺がん、大腸がん、胃がんのPDX腫瘍を用いて、3次元スフェロイド培養技術を開発しました(特許国際出願中)。

PDXを摘出後分散培養し、作製されたスフェロイドを用いて薬効を評価

PDX LibraryPDXライブラリー

当社では3つのライブラリーを取り扱っています。

国立研究開発法人国立がん研究センター:J-PDX®ライブラリー

当社は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(「CiCLE」)で、国立がん研究センター、医薬基盤・健康・栄養研究所と協働して、日本人がん患者由来のPDXライブラリー(J-PDXライブラリー)を構築しました。
J-PDX®は、国立研究開発法人国立がん研究センターの日本における登録商標です。

J-PDX®ライブラリー

(公財) 実験動物中央研究所:CIEA-PDX®ライブラリー

実験動物中央研究所が保有するライブラリーのうち約230株の利用が可能です。
詳細については当社担当までお問い合わせください。
CIEA-PDX®は、(公財) 実験動物中央研究所の日本における登録商標です。

埼玉医科大学国際医療センター

埼玉医科大学国際医療センターと国立がん研究センターが共同で樹立した婦人科がんPDXの利用が可能です。
詳細については当社担当までお問い合わせください。

About J-PDX LibraryJ-PDXライブラリーとは

J-PDXライブラリーとは、LSIメディエンス(2020年当時)が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業「CiCLE」の環境整備課題「がん医療推進のための日本人がん患者由来PDXライブラリー整備事業」において構築した日本人がん患者由来のPDXライブラリーです。国立がん研究センターの患者さんから腫瘍検体をお預かりし、国立がん研究センター研究所でPDXを作製、その後熊本研究所GLP施設にて維持・管理しています。

J-PDXライブラリーは産業利用可能なライブラリーで、我が国の画期的な新薬の創出を支援するために、国内で高い信頼性のもとに樹立され、厳しく管理されています。

J-PDXライブラリーの特長

  • 患者のインフォームドコンセントを取得済み、委受託試験で使用可能
  • 熊本研究所GLP施設のPDX専用飼育室で維持・管理
  • 希少がんを含む数多くのがん種でPDXを作製
  • 再発・薬剤耐性期の検体から数多く樹立
  • 臨床情報は国立がん研究センターで管理
  • 遺伝子変異情報、遺伝子発現情報が付帯

J-PDXライブラリー情報

(2021年7月時点 410PDX内訳)
*樹立・在庫状況は常に変動しますので、最新情報についてはお問い合わせください。

がん種別PDX数
がん種別PDX数
病期別内訳
病期別内訳
原発・転移内訳
原発・転移内訳
化学療法歴内訳
化学療法歴内訳

J-PDXライブラリーカタログ

遺伝子発現情報については当社担当までお問い合わせください。

Immunodeficient Animal免疫不全動物

PDX移植用の免疫不全マウスは、複数の系統を取り扱っています。

PDXの創薬利用に係る倫理的・法的・社会的課題(ELSI)、カルタヘナ議定書、バイオセーフティー、病原微生物統御等への対応は、PDX株の提供機関と連携して適切に実施しています。

取り扱い可能リスト

一般名 系統名
Nude BALB/cAJcl-nu/nu, CAnN.Cg-Foxn1nu/CrlCrlj
SCID CB17/Icr-Prkdcscid/CrlCrlj
NOD/SCID NOD.CB17-Prkdcscid/J
NOG NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Sug/ShiJic
NSG NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ